事業性評価融資とは??
2017.01.15
事業性評価融資・・・、今話題の融資手法ですが、
その実態はまだまだ不明な点が多いのも事実です。
先ずは、事業性評価融資を知る、という意味で、
これまでの経緯について解説してみます。
2014年6月24日閣議決定された「日本再興戦略」(改訂2014)の
「中堅企業・中小企業・小規模事業者の革新」において、
「地域金融機関等による事業性を評価する融資の促進等」という一文が公表されました。
そこには、「企業の経営改善や事業再生を促進する観点から、
金融機関が保証や担保等に必要以上に依存することなく、
企業の財務面だけでなく、 企業の持続可能性を含む事業性を重視した融資や、
関係者の連携による融資先の経営改善・生産性向上・体質強化支援等の取組が十分なされるよう、
また、保証や担保を付した融資についても融資先の経営改善支援等に努めるよう、
監督方針や金融モニタリング基本方針等の適切な運用を図る。」と書かれています。
そして、金融庁が2014年9月に公表した「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」において、
「事業性評価に基づく融資等」が重点施策の1つとして掲げられています。
そこには、「金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、
借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価し(「事業性評価」)、
融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援していくことが求められる。
また、中小企業に対しては、引き続き、きめ細かく対応し、
円滑な資金供給等に努めることが求められている。
金融庁としては、この面での金融機関の経営姿勢、企業の事業性評価への取組み、
企業に対し現実にいかなる対応を行っているか等につき、検証を行っていく。」
と書かれています。
また、2015年7月に金融庁が公表した「円滑な資金供給の促進に向けて」の中では、
事業性評価について「現時点での財務データや、担保・保証にとらわれず、
企業訪問や経営相談等を通じて情報を収集し、事業の内容や成長可能性などを適切に評価すること」
と定義されています。
さてさて、皆さん、これで理解できますでしょうか?
「おー分かった!分かった!」という方は相当の理解力があると想像いたします。
シンプルに説明しましょう!
これまでは、金融機関等においては、
「事業性」より「決算書」や「財務」を中心とした定量的な分析(財務分析等)に比重が置かれてきて、
「事業性」については、やはり関心が低かったと思われます。
(これはこれで金融機関側にも言い分があります!)
しかしながら、今後は過去の財務実績だけに捉われることなく、
事業の内容や成長可能性などを適切に評価することも重視されるようになります。
だからといって、財務などどうでもよい!
などとは誰も言っていませんよ。
金融機関さんが事業性評価融資を行う際には、
当然ですが、正常先企業への営業を行うでしょうし、
財務状況が悪くて、格付けが低い企業に積極的に事業性評価をするのは
非情に困難だと簡単に想像できます。
今後は、中小企業は、金融機関等に積極的な情報開示や説明をすることによって、
自社の事業性についてしっかりとアピールすることが重要となってくるでしょう。
それでは、今後、この事業性評価が急速に浸透していくのか?!
どうでしょうか??
やはりそれなりの時間が必要だと思われます。
まだまだ曖昧な状況ではありますが、皆さんには、
「事業性評価融資」についてしっかりと関心を持って頂きたいと思います。